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その箱に囚われたワタクシには、もうどうすることも出来ませぬ。 ただただ魅せられるままに、其れ等を享受するのでございます。 ながくくねる管が身体にまとわりつく状況には賛成しかねますが。 暗澹とした淵から滑り落ち、見上げて浮かぶ感触を不快とは思いませぬ。 -------------------------------070607 |
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薔薇の淡く色づく蕾 の胸飾り 雲の糸で織ったブラウス と 蜘蛛の糸で編んだ レースの日傘 身にまとうドレス は 空とインディゴと 水の滴をまぜてつくったストライプ模様 時折しゃべる 白鳥の柄が素敵 きらきら くるくる 日傘が回る 足元には ぴかぴかの靴 かかとを鳴らせば 空への旅がはじまる 薔薇の花びら色したリボン は 壜詰めのジャム を 蝶々結び 星のきらめきをとじこめた髪留め いくつも いくつも 頭を飾る それは まるで雨のしずく -------------------------------070606 |
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今日と昨日に降る雨は、誰かのために流す涙なのです 昨日と今日に落ちる雷は、もう動かない誰かの代わりに、打ち鳴らす鼓動なのです 誰かとだれかが同じくした時間はとても短い けれどもそこに含まれた内容物は、誰かのカタチをすくいとれるほど膨大(ぼうだい) だれかと誰かの距離は、幾多の星をつないだよりも長く 背中合わせに手をつないだ先で、誰かがだれかに笑いかける ああ、いまだ眼裏(まなうら)に輪郭のこすその人よ どうか、どうか 安らかに その身を白い衣に包ませ どうか、どうか 清らかに むかしも合わせたその手を もうなにも零れ落ちないようにしっかりと組み合わせ どうか、どうか 忘れずにいられるように 眠りついて閉じた瞼を 我が心に焼き付ける どうか、どうか 遠く近い旅路が安らかなものであれと 投げかけるコトバに答える声はなく もうきくことのないその声に想いを馳せる さあ、船出は今 このとき 白をその身にまとい 世界を夢見ながら セカイを見ることもなく深く 安らかな旅路は 空高く浮かぶ白い月へと 天高く広がる星々群へと つづく つづく |
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あなたに捧げるものは 頸をさらけだして跪く少年なのです 乳白色の首輪をはめた、大地と太陽の滴のような子ども とじた瞼、すべらかな肌、睫毛の影がちらちらと震えているのが見えますか 黒い髪は柔らかく渦巻き、灼けた手足はすらりとのびて 己に何が待ちうけているかも知らないその姿 石から切り出された彫刻の像というのは、こんなふうかもしれませんね さあ、あなたのために用意したのですから どうぞ、あなたのお気の召すまま この子どもは その瞼をあけた途端に あなたの虜となるでしょう ひざをついた床の冷たささえ忘れて たとえ身の内に残る一片の 困惑を含んだ恐怖さえ あなたの目を捉えれば 一瞬にして甘美な刺激に生まれ変わり 身体に走る痺れは想うあなたへの悲哀へと変わりましょう これより流す涙は すべて あなたさまのものにございます -------------------------------070525 |
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じりじりと むわむわと そえそえと ゆるゆると はらはらと えめえめと なにかが そこのほうから やってくる どこのそこ そこのそこ ここのしたから みずからの からだのなかの みずのなか こぽこぽと そぽそぽと くぽくぽと のぼるように おしあげられて ちかづいてくる (なにもみたくない みたくてもまえがみえない) (みたいものがみたい みたくないものはみえない) (みえないものがみたい みえるものをみようとしない) どこから どこから やってくる それは どこから みずからの うちから みずのおうかんのように わきあがる それ は なに |
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汽車のたび 汽車での旅、夜行列車での旅、というものはどれも文学的な匂いがする。 なんだか懐かしく、鮮烈で、身体に潜む電気的な因子が、躍動ごとに枠をこえて飛び散っていくようだ。 心臓に鼓動ひとつ、確りと数えられるくらいに熱をもって動力部はまわっていく。 はくはくと、このまちどおしくてたまらない一連の時間こそ、その目を透明に光らせ、真んまる団栗にさせるのである。 魅力的、とひと言でいうには勿体ないくらい、それは熱くも冷たくもない雰囲気で、水のように空気のように、不思議な感触でもって私を攫うのだ。 どこかへ連れてこられ、そこを見渡せば、いつもそこには「旅」というものが広がっている。 たびはやはり、このように地上をはしつ箱のような乗り物でおこなうものなのだ。 -------------------------------070523-050117 |
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