百の命(ジカン)をもった誰かよりも
あなたの尊き命の滴がワタシを惑わす
薔薇色に染まる頬を寄せて
恥ずかしそうに瞼をふせて
そんなにワタシをオカシクさせようというの
貴方が夜を歩く貴族サマなら
その白い頸を飾るための噛み痕をみせてちょうだい
純正(サラブレッド)の証など意味もない
零れ落ちた牙はミルクに溶けるほど脆い
似合いの星玉石で装飾品(ブローチ)でもおつくりなさい
どうぞその青白い手をさしだして
唇で忠誠を誓うワタシに油断しないで
芳高き甘き赤がしとどに流れ出す
千にも満たぬ夜を生きるよりも
あなたを愛でてシルクの髪(イト)を撫でる
三日月色の衣服をひるがえし
秘密に満ちたカラダを隠す
はやくその背中を地に落としてしまおう
鏡さえも恥じる容貌のした
脈打つ死への鼓動(カウントダウン)が聴こえる
眩暈を誘うまなざしで誰をとろかすの
棘刺すに甘えを含んだ仕草さえ
大鎌を振り落とす前の序曲(プレリュード)でしかない
ワタシは尊き赤にしか興味はなく
貴方は銀製の銃弾を飴玉のように噛み砕く
それなのに
なぜこの裏切り者(ユダ)の腕に抱かれるのでしょう
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