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アンティークという名の喫茶店に私はいました。 西洋的で懐古趣味の雰囲気があちらこちらに満ちています。 ここはケーキ屋さんと紅茶や珈琲の専門店をくっつけたようなお店。 はじめて来るお客さんよりも、長年通ってくる常連客の方が多いんじゃないのかと思います。 私はこのお店に来てまだ数ヶ月ほどで、いまだに少しの緊張と共に席につくのです。 お店の中は、外の時間よりもゆっくりと時間が進んでいるような気がします。 言葉がうまく使えない私でも、幻想的な空間というのに間違いはないと断言できます。 三日月やウサギやスプーンや陶器のお皿、大きな振り子時計やお店の店員さんまで、そこいらじゅうに匂いたつ不思議で非日常的な空気を持っているのです。 りんごのパイがホールごと宙を旋回しながら向こう側へ落ちるのを見ました。 ぽろり、とフォークの先からミルフィーユをこぼしてしまったのは内緒です。 ぽかん、と口をあけて呆けていた私は、遠くのテーブルにいた店員さんがチラリとこちらに視線をやるよりも一瞬はやく正気に戻ることが出来ました。 ごくり、と気を落ち着けるために喉を潤したのですが、さきほど見てしまった向こう側が気になってどうしようもありません。 ちろり、と眼だけを動かして向こう側を見てしまいそうになるのを何とか抑えて、無事に、何事もなく、お店を出て帰路につくことができました。 それにしても、さっき見た向こう側はいったいなんだったのでしょう。 -------------------------------070624 PR |
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